オランダ賃貸トラブル体験記|身に覚えのない水漏れの責任を押し付けられた話(無料法律相談と市役所窓口の使い方)
公開: 2026-08-01
オランダで賃貸に住んでいると、日本ではあまり経験しないタイプのトラブルに出くわすことがあります。今回は、私たちが最初に住んだハーグ市内のアパートで起きた「身に覚えのない水漏れの責任を押し付けられた」事件と、それをどうやって解決したかの話です。同じような状況で困っている方に、「使える窓口がある」ということが伝わればうれしいです。
ある日突然「バルコニーを掃除しろ」
きっかけは、私たちの1階下に住んでいる方が「寝室の壁が水漏れしている」と管理会社に連絡したことでした。すると管理会社から、上の階に住む私たちに連絡が来たんです。
いわく「おそらくバルコニーを掃除していないせいで水が溜まり、水漏れしているのだろう。デッキを外して掃除してほしい」。
でも、うちのバルコニーはちょっと特殊な構造でした。手すりと床の木製デッキがひとつながりになっていて、ネジでまとめてコンクリートに固定されているんです。図面もないので、どこに排水溝の穴があってどう水が流れているのかも分からないし、どこのデッキを外せばいいのかも分からない。
そもそも、これって借りている側がやる仕事なの?——というのが一番の疑問でした。
メジャーリペアとマイナーリペア
オランダの賃貸には、修繕の責任を分ける考え方があります。借主が負担するのは電球の交換や玄関まわりの掃除といった「手の届く範囲」の軽微なメンテナンス(minor repair)。構造に関わるような大規模な修繕(major repair)はオーナーの責任です。
この区分はオランダ政府の公式サイトに整理されていて(Rijksoverheid: 借主負担と貸主負担の費用区分・オランダ語)、「小修繕」に何が含まれるかは政令(Besluit kleine herstellingen)で一覧が決められています。ポイントは、この一覧を借主に不利な方向に変えることはできないこと。制度は変わることもあるので、最新は公式情報でご確認ください。
固定されたデッキを外して掃除するのは、どう考えても「手の届く範囲」ではありません。そう主張してしばらくやり取りしていたら、管理会社から出てきたのがこの言葉でした。
「この件に関しては、あなたのデポジットから引きますんで」
はー??ってなりますよね。 ちょっと脅しに近いです。これにはさすがに腹が立ちました。
無料法律相談 → 市役所へ
泣き寝入りはしたくなかったので、まず無料の法律相談窓口に夫が相談に行きました。私たちの場合は収入水準の条件で「ここでは対応できない」と断られてしまったのですが、担当の方がとても親身で、なんと代わりに市役所にクレームを入れてくれたのです。
そこから話が動きました。市役所の担当者がうちまで来て、実際に現場を見ながら「これはメジャーリペア」と判断し、その結果を管理会社側に通知**してくれたのです。
ちなみに現在、ハーグ市には賃貸の相談窓口(Huurbalie / Advies voor huurders)があります。個人オーナーから借りている人向けに、市の住宅相談員が家賃・契約・メンテナンスの相談に無料で乗ってくれて、必要なら家まで見に来てくれます。連絡は電話 14070 か、ページ内の問い合わせフォームから。ハーグで同じような状況になったら、まずここに相談してみてください。 (オランダでは家に関する問題はものすごく多いようで、他の地域でもあるはずです!)
結末:デッキの下には何もなかった
最終的に、管理会社側がテクニシャン(技術者)を呼んでデッキを開けることになりました。
結果は——デッキの下には何もなし。泥が詰まって水漏れ、なんて状態ではなく、結局どこが水漏れの原因かは分からずじまい。おそらく別の場所の配管の問題だろう、ということになり、私たちの責任ではないことがはっきりしました。
最初から現場を見もせずに「住人のせい」にされたわけです。一度見にきたら??と何度も思いましたよ。
後日談:デポジットは全額返ってきた
あれだけ「デポジットから引くからな」と言われていましたが、後日談として——この家を退去したとき、デポジットは全額返ってきました!おかしいと思ったことに、ちゃんと声を上げてよかったと心から思っています。声を上げる際には、客観的事実や証拠を持ってやり取りすることがポイントです。(今回は、市役所の相談窓口の判断や管理会社側が手配した技術者による検証結果です)
この経験からの学び
- オランダでは、水漏れのような面倒な案件だと管理会社がなかなか動かず、住んでいる人に責任を押し付けてくることがある(もちろん全部の会社ではないはずですが)
- 「デポジットから引く」と言われても、慌てて従う前に第三者に相談する
- 無料の法律相談窓口と市役所の相談窓口は本当に使える。収入条件で法律相談を断られても、別の窓口につないでもらえることがある
- 借主の義務は「手の届く範囲の軽微なメンテナンス」まで。大規模修繕はオーナー責任という区分を知っておくだけで、交渉の土台ができる
正直、こちらが動かないと何も進まない状況というのは、とっても疲れました。でも、オランダには借主を守る仕組みがちゃんとあります。おかしいと思ったら、一人で抱え込まずに窓口に相談しましょう。
まとめ
身に覚えのない修繕責任を押し付けられたら、①借主の義務の範囲(minor repair)かどうかを公式の区分で確認、②無料法律相談へ、③市役所の窓口(ハーグならHuurbalie)へ。この記事は私たちの体験談なので、制度の最新情報は公式でご確認ください。
この家のあとに引っ越した2軒目では、また別のタイプのトラブル(契約打ち切りの恐怖)がありました。その話はこちらの記事で。